THE DA VINCI CODE (CHAPTER 06) Translating...
Mật mã Da Vinci (tiếng Anh: The Da Vinci Code)
là một tiểu thuyết của nhà văn người Mỹ Dan Brown được xuất bản năm 2003 bởi
nhà xuất bản Doubleday Fiction (ISBN 0385504209). Đây là một trong số các quyển
sách bán chạy nhất thế giới với trên 40 triệu quyển được bán ra (tính đến tháng
3, 2006), và đã được dịch ra 44 ngôn ngữ.
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セキュリティ・ゲートの下をどうにか抜け、ロバート・ラングドンはグランド・ギャラリーの入口に立った。長く深い渓谷の口を見つめる。ギャラリー両脇の殺風景な壁は高さが三十フィートもあり、上方は闇に吸いこまれている。夜間照明の赤い光が壁を伝いのぼり、天井からケーブルで吊られた驚くべき数のダ・ヴィンチ、ティツィアーノ、カラヴァッジョの作品に、不自然な陰影を帯びさせている。静物画、宗教画、風景画に加えて、貴族や政治家の肖像画もある。
グランド・ギャラリーにはルーヴルでも特に名高いイタリアの美術品がおさめられているが、訪れた人の多くが何よりも心を奪われるのは、みごとな寄せ木張りの床である。オークの板を斜めに組み合わせた美しい幾何学模様の床は、しばし目の錯覚を引き起こす―一歩ごとに変化する床の上を進む者に、たゆたうような感覚をもたらす多次元の網の目だ。
ラングドンの視線もその模様をたどりはじめたが、ふと動きが止まった。ほんの数ヤード左の、警察の現場保存用テープに囲まれたあたりに、思いがけないものが落ちている。ラングドンはファーシュに向きなおった。「あれは……床にあるのはカラヴァッジョですか?」
ファーシュは見もせずにうなずいた。
あの絵の価値は二百万ドル以上になるだろう。それなのに、捨てられたポスターのように床に落ちている。「いったいなぜ床なんかに!」
ファーシュはまるで動じる様子もなく、ただ苦い顔をした。「ここは事件現場なんだよ、ミスター・ラングドン。われわれはいっさい手をふれていない。あの絵を壁からはずしたのは館長だ。そうやってセキュリティ・システムを作動させた」
ラングドンはゲートを振り返り、何が起こったのかを想像しようとした。
「館長は執務室で襲撃されたあと、・ギャラリーへ逃れ、あの絵を壁からはずしてセキュリティ・ゲートをさげるシステムを作動させた。ゲートはすぐに降下し、通路は完全にふさがった」
ラングドンは混乱した。「ということは、館長は襲撃者をグランド・ギャラリーに閉じこめたんですか」
ファーシュはかぶりを振った。「セキュリティ・ゲートは襲撃者がソニエールに近づけないようにしただけだ。敵は廊下に締め出され、このゲートの隙間からソニュールを撃った」いまくぐったゲートの格子の一か所に、オレンジのタグがつけられているのを指さす。「技術科学警察チームが銃の硝煙反応を検知したよ。外から撃ったんだな。ソニエールはここでひとりで死んだ」
ラングドンはソニエールの遺体の写真を思い浮かべた。自分で作りあげた、ということだった。目の前に伸びる広い通路を見やる。「それで、遺体はどこに?」
ファーシュは十字架のネクタイ留めを正し、歩きはじめた。「知っているだろうが、グランド・ギャラリーは恐ろしく長いんだ」
ラングドンの記憶が正しければ、長さは約千五百フィートで、寝かせたワシントン・モニュメント三つぷんにほぼ相当する。同じくらい驚かされるのは廊下の幅の広さで、旅客列車二台が同時に通過してもまだ余裕がある。中央にはところどころに彫像や巨大な磁器の壷が配置され、それらが興趣をそがない仕切りとなって、往路と復路の人の流れを自然に生み出している。
ファーシュは口をつぐみ、前方を見据えて通路の右側を突き進んでいった。ラングドンにしてみれば、数々の傑作に一顧も与えずに過ぎ去ってしまうのは、無礼な気さえした。
この暗さではどうせ何も見えそうにないが。
忌まわしいことに、柔らかな深紅の明かりは、やはりこのような照明が使われていたヴァチカン記録保管所での体験を思い起こさせた。九死に一生を得たあのローマの事件との不気味な類似は、今夜これでふたつ目だ。ふたたびヴィットリアを思い出した。もう何か月も夢にさえ現れていない。あれがほんの一年前だとは信じられなかった。何十年もたった気がする。別の人生だ。ヴィツトリアから最後に便りが来たのは十二月で、これからジャワ海へ向かうと書かれた絵はがきだった。生物物理学の調査をつづけるために、衛星を利用してイトマキエイの回遊を追跡するとかなんとか。ヴィットリア・ヴェトラのような女性が大学のキヤンパスで自分と幸せにやっていけるなどという幻想をいだきはしなかったが、あの日の出会いは自分が想像したこともなかった願望を解き放った。独身生活とその気ままな身軽さを生涯求める気持ちが少なからずぐらついて……かわりに、思いも寄らないむなしさが一年かけて募った気がする。
早足で歩きつづけたが、まだ遺体は見えない。「ジャック・ソニエールはこんなに遠くまで進んだんですか」
「撃たれたのは腹だ。絶命するまでかなり時間があったはずだ。十五分か、あるいは二十分以上かもしれない。強靭な精神力の持ち主だったようだな」
ラングドンは仰天してファーシュを見た。「警備員が来るまで十五分もかかったと?」
「まさか。ルーヴルの警備員は警報が鳴るとすぐに反応して、グランド・ギャラリーが閉鎖されたと知った。鉄格子越しに、通路の奥で何者かが動く音を聞いたが、それがだれなのかはわからなかった。声をかけても返事がなかったらしい。そいつが侵入者にちがいないとにらんで、規定どおりに司法警察を呼んだわけだ。われわれも十五分以内に到着した。現場に来ると、くぐり抜けられるぷんだけゲートをあげて、武装警察官十数人を送りこんだ。ギャラリーをくまなく調べて、侵入者を追い詰めるために」
「結果は?」
「空振りだ。見つかったのは……」ファーシュは通路の奥を指さした。「あれだけだ」
ラングドンは目をあげ、ファーシュの伸ばした指の先へ視線を移した。はじめは、通路中央の大きな大理石の像を指さしているのだろうと思った。だが近づいていくと、彫像の向こうにあるものが目にはいった。三十ヤードはど先に組み立て式の照明スタンドが置かれ、そこから発せられる光が床を照らして、深紅のギャラリーに輝かしい白の孤島を作り出している。光の島の中央では、寄せ木張りの床の上に、顕微鏡の下に置かれた昆虫のごとく、ソニエールの裸の死体が横たわっていた。
「写真を見たのなら、驚くまい」ファーシュは言った。
遺体に近寄るにつれ、体の奥底から寒気がこみあげた。目の前にあるのは、ラングドンがかつて見たこともない異様な絵図だった。
ジャック・ソニエールの青白い体は、写真で見たとおりの姿勢でそこにあった。まぶしい光に目を細めて死体のそばに立つと、驚きがよみがえった。いまわの際のソニエールが、みずからの体にこんな奇妙な恰好をさせたとは。
ソニエールの体は年齢の割にすばらしく引き締まっていた。そして筋肉組織が隅々まで見てとれた。衣服をひとつ残らず脱いでていねいに床に置き、広い通路の中央で、長軸に体の向きを沿わせる形で仰向けに横たわっている。両の腕と脚は翼をひろげた鷲の形に投げ出され、ちょうど子供がよく作るスノー・エンジェル(新雪をくぼませて作る人の形)のようだ……というより、目に見えない力で四方へ引っ張られている人間、のほうが適切な形容だろうか。
胸骨のすぐ下の、弾丸が撃ちこまれた痕に血がにじんでいる。傷からの出血はことのほか少なく、黒ずんだ血がわずかに付着しているだけだ。
左の人差し指にも血がついているが、これはおそらく傷口に浸したからだろう。ソニエールは戦慄の死を迎える間際に、なんとも不可解な行為に及んでいた。自分の血をインクに、裸の腹をキャンバスにして、体に単純な象徴を措いたのだ。それは五本の直線が交差した、五つの頂点を持つ星だった。
ペンタクル―五芒星。
へそを中心とする血染めの星は、遺体に陰惨きあまりないオーラをまとわせている。
あの写真だけでもぞっとしたが、じかに見てみると不気味さがいっそう募る。
これをソニエールが自分で作りあげた。
「ミスター・ラングドン」ファーシュの黒い目がふたたびこちらへ向けられた。
「五芒星ですね」ラングドンは言った。広大な空間に自分の声がうつろに響く。「世界で最も古い象徴のひとつです。キリスト生誕以前から、四千年以上も使われてきました」
「それで、どんな意味があるのかね」
この質問をされるたび、どう答えたものかと迷う。象徴の意味するところを人に教えるのは、歌を聴いてどう感じるべきかを教えるのと似たようなものだ。それは人それぞれに異なる。クー・クラックス・クランの白いかぶりものは、アメリカでは憎しみと人種差別のイメージにつながるが、スペインでは同じ衣装が信仰心の表れとなる。
「象徴は背景が異なれば意味も変わるものです」ラングドンは言った。「本来、五芒星は異教の象徴でした」
ファーシュはうなずいた。「悪魔崇拝だな」
「いいえ」ラングドンはそう答えてすぐ、もっとわかりやすいことばを使うべきだったと気づいた。
近年、異教―〝pagan〟―ということばは悪魔崇拝とほぼ同義と見なされているが、これは大きな誤解だ。この語の起源へさかのぼると、ラテン語の〝paganus〟、すなわち〝田舎に住む者〟という意味の語にたどり着く。〝pagan〟とは文字どおり、キリスト教が行き渡らない僻地の人々―古い土着の自然崇拝を守る人々のことだった。カトリック教会はこうした田舎の村―〝village〟―に住む人たちを恐れたので、かつては単に〝村人〟を表す語であった〝vilain〟が、ならず者という意味に変化してしまった。
「五芒星は」ラングドンは説明した。「キリスト教以前の自然崇拝にまつわる象徴です。古代人は、世界がふたつの側面を持つと考えていました―男性と女性ですね。男神と女神が力の均衡を維持すると見なしていたわけです。陰と陽。男女のバランスがとれていれば、世界は調和が保たれる。バランスが崩れれば、混沌が訪れる」ソニエールの腹部を示す。「五芒星は、万物の女性側の半分―宗教史学者が〝神聖な女性〟や〝聖なる女神〟と呼ぶ概念を表します。ミスター・ソニエールはそのことをだれよりもよく知っていたはずです」
「自分の腹に女神の象徴を描いたって?」
奇妙なことだ、とラングドンも認めざるをえなかった。「さらに絞りこんだ解釈をすると、五芒星が象徴するのはヴィーナス―性愛と美の女神です」
ファーシュは裸の死体に目をやり、低くうなった。
「原始の宗教は、自然の摂理の神聖さに基づいていました。女神ヴィーナスと金星は一体だったわけです。この女神は夜空にいて、いろいろな名で知られていました―ヴィーナス、東方の星、イシュタル、アシュタルテ―どれもが自然や母なる大地と結びついた、力強い女性の概念です」
ファーシュはますます混乱したようだ。どうやら悪魔崇拝のほうが受け入れやすいらしい。
ラングドンは、五芒星に関連する最も驚くべき事実はあえて話さないことにした―五芒星の図形そのものも金星に由来するという事実だ。学生のころに受けた天文学の授業で、金星が八年周期で黄道上に五芒星を描くと知り、感銘を受けた。驚いたのはこの現象に気づいた古代人も同じらしく、それゆえ金星とその五芒星は完璧さ、美しさ、そして性愛のもたらす循環の象徴となった。ギリシャ人は金星の魔法に敬意を表し、その八年の周期の半分を基準としてオリンピア競技会の開催時期を決めた。現代のオリンピックがなおもそれに従って、四年ごとに開催されていると知る人は少ない。ましてや、オリンピックの公式マークが五芒星に決まりかけていたことはほとんど知られていない。大会の精神である統合と調和のメッセージをより強く打ち出すために、土壇場になって五つの組み輪に変えられたのである。
「ミスター・ラングドン」ファーシュは唐突に言った。「五芒星が悪魔とも関係があるのは明らかだよ。きみたちアメリカ人が作るホラー映画がそれを証明しているじゃないか」
ラングドンは渋い顔をした。まったく、ハリウッドさまさまだな。五つの頂点を持つ星は、いまや凶悪な連続殺人を描く映画には付き物だ。たいがい、悪魔崇拝者のたぐいが住むアパートの壁に、邪悪とされるいくつかの記号とともに殴り書きされている。そうした場面でこの象徴が使われているのを見ると、いつも腹立たしくなる。五芒星の真の起源は神聖そのものなのに。
「誓って言いますが」ラングドンは言った。「映画で何をご覧になったにせよ、五芒星を悪魔と結びつける解釈は歴史的にまちがっています。五芒星は本来女性の象徴でしたが、二千年のあいだにその意味がねじ曲げられてきました。この場合は、血なまぐさい歴史を経てね」
「よくわからんな」
ラングドンはファーシュの十字架をちらりと見た。どう説明したらいいだろう。
「教会ですよ、警部。象徴というのは耐性が強いものですが、五芒星の場合は初期のローマ・カトリック教会によって意味を大きく変容させられました。異教を根絶やしにして、大衆をキリスト教へ改宗させる作戦の一環として、教会は異教の神々を徹底的に冒?し、神聖な象徴を邪悪なものに変えたんです」
「なるほど」
「混迷の時代にはよくあることです」ラングドンはつづけた。「新興勢力が既存の象徴を奪い、それを長期間定めてもとの意味を消し去ろうとする。異教の象徴とキリスト教の象徴の戦いでは、異教が敗れました。ポセイドンの三叉の矛は悪魔の槍に、老賢女のとんがり帽子は魔女の象徴に、そして金星の五芒星は悪魔のしるしになったのです」そこでことばを切る。「残念ながら、アメリカ軍も五芒星の使い方を誤りました。いまでは戦争の象徴の最たるものです。どの戦闘機にも描かれていますし、どの将官の肩にもついていますからね」愛と美の女神はどこへ行ったのか。
「おもしろい」ファーシュは大きく手脚をひろげた死体へと顎をしゃくった。「では、死体の恰好は? どう説明するんだね」
ラングドンは肩をすくめた。「五芒星と聖なる女性の意味合いを強調しているだけです」
ファーシュの表情が曇った。「なんだって?」
「反復ですよ。同じ象徴を重ねるのは、意味を強める最も簡単な方法です。自分の体を用いて、もうひとつ五芒星を作ったんでしょうね」ひとつよりふたつのほうがいい。
ファーシュはつややかな髪を手で梳きながら、ソニエールの腕、脚、頭が示す五つの点を目でたどった。「興味深い分析だ」少し問を置く。「では、裸になったのは?」老いた男の裸体など見たくもないと言わんばかりに、うなり声を漏らした。「なぜ服を脱いだんだね」
痛いところを突くものだ。インスタント写真を最初に見たときから、ラングドンも同じ疑問をいだいていた。せいぜい思いついたのは、裸体もまたヴィーナス―人間の性愛をつかさどる女神―を想起させるという説明ぐらいだ。現代の文化では、男女の肉体の結びつきとヴィーナスとの関連はほとんど忘れ去られているが、注意深く観察すれば、〝性交の〟という語のなかにヴィーナスの痕跡が見てとれる。ラングドンはそこまでは言うまいと決めた。
「ファーシュ警部、ミスター・ソニエールがこの象徴を自分の体に描いたり、こんな恰好をしたりした理由は、わたしにはまったく見当がつきません。しかし、ジャック・ソニエールのような人物なら、まちがいなく五芒星を女性の神性のしるしと考えるはずです。この象徴と聖なる女性との相関関係は、美術史家や象徴学者のあいだでは広く知られていますから」
「わかった。では、自分の血液をインクがありにしたのは?」
「はかに利用できるものがなかったからでしょうね」
ファーシュはしばし間をとった。「血液を使ったのは、警察にある種の法医学的な検証をさせるためだとわたしは考えている」
「なんですって?」
「左手を見てくれ」
ラングドンはソニエールの青白い左腕から指先まで視線を思わせたが、何も見あたらなかった。判然としないまま死体の周囲をまわり、しゃがんでみると、驚いたことにソニエールが大きなフェルトマーカーを握りしめているのがわかった。
「われわれが発見したとき、ソニエールはそれを手にしていた」ファーシュはラングドンから離れ、数ヤード隔たった折りたたみ式テーブルへ歩み寄った。捜査に使う道具やケーブル、さまざまな電子機器が並んでいる。
「さっきも言ったとおり」テーブルのまわりを探りながら、ファーシュは言った。「われわれは何ひとつ手をふれていない。この種のペンを見たことはあるか」
ラングドンはかがみこんでペンのラベルを見た。
スティロ・ド・リュミエール・ノワール。
驚いて顔をあげる。
ブラックライト・ペン、または透明インクペン。これは特殊なフェルトマーカーで、もとは美術館、修復技術者、鑑定者などが、見えないしるしを作品につけるために考案したものだ。腐食性のないアルコール・ベースの蛍光インクが使われており、ブラックライトをあてなければ肉眼では読みとれない。昨今では美術館の管理担当者が日々の巡回の折に持ち歩き、修復の必要な絵の額に〝見えない目印〟をつけるために使う。ラングドンが立ちあがると、ファーシュはスタンドの明かりを消した。ギャラリーは突然闇に沈んだ。
まったく目が見えなくなり、ラングドンは不安に襲われた。つぎの瞬間、明るい紫の光に照らされて、ファーシュのシルエットが際立った。すみれ色の雷をまといつつ、何やら光源を手にして近づいてくる。
「知っているかもしれないが」目をやはりすみれ色に光らせたファーシュが言った。
「警察は犯行現場で血液その他の鑑識資料を探す際にブラックライトを使う。だから、われわれがどれほど驚いたか想像はつくだろうが……」唐突にライトを死体に向けた。
下を見たラングドンは、衝撃のあまり飛びすさった。
寄せ木張りの床に浮かびあがった異様な光景に、心臓が高鳴った。走り書きされた文字が発光し、ソニエールの遺したことばが死体のかたわらで紫に輝いている。ラングドンはそれを見つめながら、今宵を覆っていた霧が一段と深くなるのを感じた。
もう一度メッセージを読み、ファーシュを見た。「これはいったい……どういう意味ですか」
ファーシュの目が白くきらめいた。「きみを呼んだのは、まさにその質問に答えてもらうためだ」
そこからほど近いソニエールの執務室では、ルーヴルにもどったコレ警部補が、館長の大きな机に載せた音響装置に張りついていた。机の隅から、ロボットに似た薄気味悪い中世の騎士の模型がこちらを見つめていることを除けば、なかなか居心地がよい。ヘッドフォンをつけ、ハードディスク録音システムの入力レベルをたしかめる。
システムはすべて順調だ。マイクは完璧に機能しており、音声がこの上なく明瞭に聞こえる。
ル・モマンド・ヴエリテ
真実の瞬間だ。
コレは笑みを浮かべて目を閉じ、録音中の・ギャラリーでの会話のつづきを堪能することにした。
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