THE DA VINCI CODE (CHAPTER 02) Translating...
Mật mã Da Vinci (tiếng Anh: The Da Vinci Code)
là một tiểu thuyết của nhà văn người Mỹ Dan Brown được xuất bản năm 2003 bởi
nhà xuất bản Doubleday Fiction (ISBN 0385504209). Đây là một trong số các quyển
sách bán chạy nhất thế giới với trên 40 triệu quyển được bán ra (tính đến tháng
3, 2006), và đã được dịch ra 44 ngôn ngữ.
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一マイル離れたところで、シラスという名の色素欠乏症の大男が、プリユイエール通りにある褐色砂岩の豪著な建物の正門を重い足どりでくぐり抜けた。嫌のついた馬巣織りのベルトが太腿の肉をえぐるが、神への責務を果たした満足感で胸が躍っていた。
苦痛は善だ。
建物にはいると同時に、赤い瞳でロビーを見渡した。だれもいない。ほかの信徒を起こさないよう足音を忍ばせて、階段をのぼった。ここでは施錠が禁じられているので、寝室のドアはあいている。室内へ進んでドアを閉めた。
部屋は簡素だ―硬材の床、マツ材の戸棚、隅にはベッドがわりに使っているキャンバス地のマット。今週はここに宿を借りる身だが、ニューヨーク市にある同様の宿舎で暮らすようになってもう何年にもなる。
神は自分に住まいと生きる目的を与えてくださった。
ようやく今夜、その恩に少し報いることができたとシラスは思っていた。早足で戸棚に歩み寄り、最下段の抽斗に隠しておいた携帯電話をとって、相手を呼び出した。
「はい」男の芦が答えた。
「導師、いまもどりました」
「報告を」声が命じた。連絡を受けたせいか機嫌がよさそうだ。
「四人とも逝きました。三人の参事も……総長も」
ほんの一瞬、祈りを唱えるくらいの間があった。「すると、情報を手に入れたんだな」
「四人が同じことを言いました。別々に」
「それを信じたのか」
「全員が一致したのですから、偶然とは思えません」
息づかいが荒くなった。「よくやった。音に聞く秘密主義は手ごわいと危惧していたのだが」
「死への恐れは人を動かすものです」
「では、要点を聞かせてくれ」
四人から聞き出した話が相手に衝撃をもたらすとシラスは確信していた。「全員が〝クレ・ド・ヴット〟の存在を認めました……伝説の要石です」
電話の向こうで息を呑むのが聞こえ、導師の驚きが感じとれた。「キー・ストーン。まさしくわれわれの予想どおりだ」
言い伝えによると、その組織はある地図を石で作ったらしい。それが〝クレ・ド・ゲット〟―キー・ストーンーであり、その石板には、きわめて重要な秘密の隠された場所が記されている。そもそも、組織はその秘密を守るためにこそ存在しているという。
「キー・ストーンが手にはいれば、目標まであと一歩だ」導師は言った。
「考えておられる以上にわれわれは近くにいます。キー・ストーンはここパリにあるのです」
「バリアまさか。それではあまりに安易だ」
シラスは今夜のいきさつを伝えた……死を前にした四人の男たちが、おのれの罪深き命を買いもどそうとして、なりふりかまわず機密を打ち明けた様子を。全員がまったく同じ話をした。キー・ストーンはパリの古い教会―サン・シュルピス教会のしかるべき場所に巧妙に隠してある、と。
「神の家に?」導師は声を荒らげた。「ふざけた話だ!」
「何世紀ものあいだ、われわれを欺きつづけてきたのです」
勝利を全身に行き渡らせるかのように、導師はだまりこんだ。ようやくこう言った。
「おまえは神へのつとめを立派に果たした。われわれはこのときを長年待ちわびていた。石を取り返しなさい。今夜、いますぐに。いかに大事なものかはおまえも承知だろう」
計り知れない価値があるのはわかっていたが、シラスはそれを無茶な指示だと思った。「しかし、あの教会は要塞そのものです。特に夜間は。どうやってはいればいいのですか」
大きな権力を持つ人間特有の自信に満ちた口調で、導師は段取りを説明した。
電話を切ったとき、先行きを思って身が震えた。
一時間ある、とシラスは自分に言い聞かせた。神の家へ忍びこむ前に、欠かせない腰罪をおこなう時間を導師が与えてくれたのがありがたかった。きょうの罪を魂から浄めなくては。きょう犯した罪には神聖な目的があった。神を穢す者との戦いは、はるか昔からつづいている。赦しは得られるはずだ。
それでもなお、赦罪にはなんらかの贖いが必要だとシラスは承知していた。
ブラインドをおろし、裸になって部屋の中央でひざまずいた。うつむいて、太腿を締めつけるシリスのベルトを調べた。〝道〟を心から奉ずる者はみなこの装具―鋭い金属の棟で肉を刺し、キリストの受難をつねに思い起こさせる革帯―を身につけている。このベルトがもたらす痛みは、肉欲を打ち消す役にも立つ。
きょうはもう、所定の二時間よりも長くこれを装着していたが、いつもとは事情がちがう。留め金をつかんで、穴ひとつぶんきつく締めなおした。棟がさらに深く食いこみ、思わず身震いする。シラスはゆっくりと息を吐き出しながら、痛みによる浄化の儀式を味わった。
苦痛は善だ。すべての師の師であるホセマリア・エスクリバー神父の聖なる真言を小声で繰り返した。エスクリバー神父は一九七五年に逝去したが、知恵は生きつづけ、そのことばは、世界じゅうに数多く存在する忠実な信徒が床にひざまずいて、〝肉の苦行〟として知られる神聖な修行を実践する際に、いまもって口ずさまれている。
シラスは足もとの床にあるていねいに巻かれた縄に注意を移した。苦行。結び目に、乾いた血がこびりついている。おのれの苦悩を浄めたいと切に願いつつ、すばやく祈りのことばを唱えた。そして縄の端をつかんで日を閉じ、肩へ強く振りおろした。結び目が背中を叩く。ふたたび鞭を振り、肉を痛めつけた。繰り返し繰り返し、責めつづけた。
カスティーゴ・コルブス・メウム‐わが身を打ち叩け。
ついに、シラスは血が流れはじめたのを感じた。
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