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THE DA VINCI CODE (CHAPTER 09) Translating...

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Mật mã Da Vinci (tiếng Anh: The Da Vinci Code) là một tiểu thuyết của nhà văn người Mỹ Dan Brown được xuất bản năm 2003 bởi nhà xuất bản Doubleday Fiction (ISBN 0385504209). Đây là một trong số các quyển sách bán chạy nhất thế giới với trên 40 triệu quyển được bán ra (tính đến tháng 3, 2006), và đã được dịch ra 44 ngôn ngữ.
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 ラングドンとの話に邪魔がはいらないよう、べズ・ファーシュは携帯電話の電源を切っておいた。ところが、無線の送受信機能がついた高級機種だったため、命令に反して部下が呼び出しをかけてきたのに反応した。
「警部?」無線機を思わせる粗い音声が響いた。
 ファーシュは怒りに歯がきしむ思いだった。隠密監視のさなかにそれもこの山場に割りこむほどの重要な用件をコレ警部補がかかえているはずはない。
 ファーシュはあわてず、すまなさそうな顔をラングドンに向けた。「ちょっと待ってくれ」携帯電話をベルトからはずし、無線通信ボタンを押す。「ウィ?」
「警部、暗号解読課の捜査官が到着しました」コレがフランス語で言った。
 ファーシュの怒りが一瞬しぼんだ。暗号解読官が? タイミングは悪いが、おそらくよい知らせだろう。床に残された暗号文を見つけたあと、ファーシュはソニエールの意図を読みとらせるために、現場の写真をまるごと暗号解読課へ送りつけてあった。専門家がここに来たのは、メッセージが解読できたからにちがいない。
「いま忙しい」迷惑きわまりないと言いたげに、ファーシュは答えた。「解読官には司令室で待つように伝えてくれ。手があいたらわたしがその男と話す」
「女性ですよ」コレが指摘した。「ヌヴー捜査官です」
 ファーシュはしだいに不愉快になってきた。ソフィー・ヌヴーの存在は、司法警察の大きな過ちのひとつだ。パリ出身のヌヴーは、ロンドン大学ロイヤル・ホロウェイ校で暗号学を修めた若い暗号解読官である。二年前、警察にもっと女性を登用しょうという内務省の試みの一環として押しつけられた。ファーシュに言わせれば、政治的に正しくあろうとするお上の介入は警察を弱体化させている。女は警察の仕事に必要な身体能力がないばかりか、いるだけで現場の男たちの士気を乱す危険がある。ファーシュの恐れたとおり、ソフィー・ヌヴーは士気を乱すどころではなかった。
 三十二歳のヌヴーは、ともすれば依情地になりかねない不屈の意志を持っていた。イギリスの新しい暗号解読論の導入に熱心なあまり、上司である古参のフランス人解読官たちをたびたび憤慨させた。そして、ファーシュにとって何より厄介だったのは、中年男ばかりの職場に魅力的な若い女性がいては仕事が手につかなくなるという、逃れようのない普遍の真理だった。
 コレの声がした。「ヌヴー捜査官はいますぐ話したいと言いまして。止めようとしたんですが、もうギャラリーへ向かっています」
 あまりのことにファーシュは身を震わせた。「とんでもない!はっきり言ってあったはず

 ラングドンは一瞬、ファーシュが脳卒中でも起こしたのかと思った。話の途中でロの動きを止め、目を剥いたからだ。ラングドンの肩越しに、凝然たるまなざしを何かへ注いでいる。ラングドンが後ろを見る前に、女の声が響いた。
「お邪魔してすみません、メシュー」
 振り向くと、若い女が近づいてきた。大きくなめらかな足どりで通路を歩いてくる。
 自信がみなぎった歩き方だ。膝まであるクリーム色のアイリッシュ・セーターに黒のスパッツという軽装に身を包んだ、魅力的な三十歳前後の女性だった。赤褐色の豊かな髪が無造作に肩へ落ち、やさしい顔立ちを引き立てている。ハーヴァードの学生寮の壁のあちらこちらを飾るやせぎすのプロンド女たちとはちがって、気どらない美しさと、強い自信をのぞかせる素朴さがすがすがしい。
 驚いたことに、女はラングドンの前にまっすぐ進み、丁重に手を差し出した。「ムシュー・ラングドン、わたしは司法警察暗号解読謀のソフィー・ヌヴー捜査官です」かすかにフランス語の響きが感じられる、ゆったりとした口調だ。「お会いできてうれしいです」
 ラングドンは柔らかな手をとり、しばし強い視線に射すくめられた。瞳はオリーブ色で、鋭くも澄んでいる。ファーシュが苛立たしげに息を吸いこんだ。いまにも叱りつけようとしている。
「警部」ソフィーはすばやくファーシュに向きなおり、機先を制した。「お邪魔して申しわけありません。ただ
「よりによってこんなときに!」ファーシュは早口で言った。
「電話してみました」ソフィーはまるでラングドンへの礼儀とでもいうように、英語でつづけた。「でも、電源が切られていて」
「理由があって切ったんだ」ファーシュは声を荒らげた。「ミスター・ラングドンと話していたからな」
「暗号を解読しました」ソフィーは事もなげに言った。
 ラングドンは心が沸き立つ思いだった。この女性が暗号を解いたって?
 ファーシュはなんと答えてよいのかわからないようだ。
「説明する前に」ソフィーは言った。「ミスター・ラングドンに緊急のメッセージをお伝えしなくては」
 ファーシュが落ち着かない顔つきになる。「ミスター・ラングドンに?」
 ソフィーはうなずき、ラングドンに向きなおった。「アメリカ大使館に連絡をとってください、ミスター・ラングドン。あなたのお国からメッセージが届いているそうです」
 ラングドンは驚いた。暗号が解けた興奮が、突然の不安に掻き消された。アメリカからメッセージ? いったいだれが自分に連絡をとろうとしたのか。パリにいると知っているのは数人の同僚だけだ。
 その知らせにファーシュは幅広の顎をきつく引いた。「アメリカ大使館だと?」疑わしげに問いかける。「ミスター・ラングドンがここにいると、どうしてわかったんだ」
 ソフィーは肩をすくめた。「ホテルに電話をして、ミスター・ラングドンは司法警察に連れられていったと顧客係から聞いたんでしょうね」
 ファーシュは怪訝な顔をしている。「それで、大使館は司法警察の暗号解読課に連絡したのか?」
「いいえ」ソフィーはきっぱりと言った。「わたしがあなたに連絡をとりたくて司法警察の交換台に電話をかけたとき、ちょうど交換手がミスター・ラングドンへの伝言を預かっていて、あなたにお会いするときにいっしょに伝えるようにと頼まれたんです」
 ファーシュは混乱した様子で額に皺を寄せた。何か言おうと口をあけたが、ソフィーはすでにラングドンに顔を向けていた。
「ミスター・ラングドン」ソフィーはポケットから小さな紙切れを引き出した。「大使館の伝言サービスの電話番号です。なるべく早くかけてもらいたいと言っていました」意味ありげな目をして紙を渡す。「ファーシュ警部に暗号の意味を説明しますから、そのあいだにご連絡ください」
 ラングドンは紙切れをじっと見た。パリ市内の電話番号と内線番号らしい。「ありがとう」だんだん心配になってきた。「電話はどこにありますか」
 ソフィーがセーターのポケットから携帯電話をとったが、ファーシュがさえぎった。爆発寸前のヴェスヴィウス火山といったところだ。ソフィーから日を離さず、自分の携帯電話を出して差し出した。「この回線は安全だ、ミスター・ラングドン。使うといい」
 ファーシュがなぜこの若い女性に腹を立てているのか、ラングドンは不思議に感じた。落ち着かない思いで電話を借りる。ファーシュは数歩離れたところにいたソフィーにいきなり詰め寄り、声をひそめて叱責をはじめた。ラングドンは警部をますます疎ましく思いながら、この妙な対決に背を向けて電話のスイッチを入れた。ソフィーから渡されたメモを見ながらボタンを押す。
 呼び出し音が鳴りはじめた。
 一回……二回……三回……
 ようやく電話がつながる。
 大使館の交換手が出ると思ったが、そうではなく留守番電話だった。おかしなことに、テープの声には聞き覚えがある。ソフィー・ヌヴーの声だ。フランス語でこう言っている。
「もしもし、こちらはソフィー・ヌヴーです。ただいま外出しておりますが……
ラングドンはとまどい、振り返ってソフィーを見た。「すみません、ミズ・ヌヴー。この番号は
「それが正しい番号です」ソフィーはラングドンの混乱を見越していたのか、すぐさま言い返した。「大使館には自動伝言システムがあります。メッセージを聞くには、アクセス用の暗証番号を押してください」
 ラングドンは目をまるくした。「しかし
「お渡しした紙に、三桁のコード番号があるでしょう」
 ラングドンはこのとんでもない誤解について説明しようと口を開きかけたが、ほんの一瞬、ソフィーが鋭い視線を投げてよこした。緑の瞳が明瞭なメッセージを送っている。
 何も尋ねないで。とにかく言うとおりにして。
 ラングドンはわけのわからないまま、紙に書かれた内線番号を押した454
 すぐにソフィーの応答メッセージが途切れ、フランス語の機械的な声が響いた。
「新しい用件が一件あります」どうやら454とは、ソフィーが外出先から伝言を聞くための暗証番号らしい。
 この女性の伝言を聞くのか?
 テープを巻きもどす音がする。やがてテープが止まり、再生がはじまった。ラングドンは流れてきたメッセージに耳を傾けた。ふたたびソフィーの声が響く。「ミスター・ラングドン」メッセージは怯えがちなささやき声ではじまった。「このメッセージを聞いても態度を変えないでね。とにかく、しっかり聞いて。あなたはいま、危険にさらされています。わたしの指示に従ってください」


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