THE DA VINCI CODE (CHAPTER 22) Translating...
Mật mã Da Vinci (tiếng Anh: The Da Vinci Code)
là một tiểu thuyết của nhà văn người Mỹ Dan Brown được xuất bản năm 2003 bởi
nhà xuất bản Doubleday Fiction (ISBN 0385504209). Đây là một trong số các quyển
sách bán chạy nhất thế giới với trên 40 triệu quyển được bán ra (tính đến tháng
3, 2006), và đã được dịch ra 44 ngôn ngữ.
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最前列にひざまずいて祈りを捧げるふりをしながら、シラスは堂内に目を走らせた。
大半の教会堂と同じく、サン・シュルピス教会も巨大なローマ十字の形に建てられていた。縦長の中央部分をなす身廓の先に主祭壇があり、そこから翼廊と呼ばれる短い部分が横へ伸びている。身廓と翼廓の交わる部分は中央の丸屋根の真下にあたり、教会の心臓部―最も神聖な場所と見なされている。
だが今夜はちがう、とシラスは思った。サン・シュルピスは別の場所に神秘なるものを隠している。
首を右にひねり、南の翼廓へ目を向けた。会衆席の向こうの広い床面に、あの四人が言っていたものが見える。
あれだ。
灰色の花崗岩の床に細長い真鍮片が埋めこまれ、金色の線が教会の床を斜めに横切っている。線に定規を思わせる目盛りが刻まれているのが見える。指時計といい、異教徒が作った日時計のようなものだと、シラスは教えられていた。世界じゅうの旅行者、科学者、歴史学者、そして異教徒が、この名高い線を見るためにサン・シュルピス教会を訪れる。
ローズ・ライン。
真鍮の道筋をゆっくり目で追ったところ、それは目の前の床を中途半端な角度で右から左へ斜めに進み、教会堂全体の対称性とまったく相容れなかった。主祭壇をかすめるその線は、美しい顔に切りつけられた傷を思わせる。さらに聖体拝領台をふたつに裂き、堂内を端から端まで横断したすえ、翼廊の北の隅にある意外な物体の基部に達していた。
エジプトの巨大なオベリスク。
輝くローズ・ラインはここから九十度上に向きを変え、オベリスクの表面をたどって約三十三フィートの高みまでのぼり、ピラミッド形の突端でようやく終わっていた。
ローズ・ライン。組織はキー・ストーンをそこに隠したという。
キー・ストーンの隠し場所がサン・シュルピス教会であるとシラスが告げたとき、導師は疑わしげだった。けれども四人全員の教えた場所が正確に一致し、それがサン・シュルピス教会を走る真鍮の線にまつわると聞くなり、驚きをあらわにした。
「ローズ・ラインではないか!」
導師はサン・シュルピス教会の建築上の特徴をかいつまんで説明した。堂内を分断する真鍮の線は、正確に南北方向を示している。古代の日時計の一種で、かつて異教徒の寺院が同じ場所に建っていた名残だ。南側の窓から線上へ差しこむ陽光が毎日少しずつ位置を変え、それが夏至から冬至までの時の経過を表す。
この南北に走る線はローズ・ラインと呼ばれている。何世紀ものあいだ、薔薇は地図や、正しい方向へ人々を導くものの象徴だった。羅針図はほとんどの地図に描かれて、東西南北を指し示しているが、元来は〝風の薔薇〟として知られ、三十二の風向きを表していた。主要な八方位を基準とし、十六方、三十二方と細分したものである。
円の上に図示すると、三十二個の頂点のなす形が、三十二枚の花弁を持つ伝統的な薔薇の模様によく似て見える。今日でもコンパス・ローズは航海の基本とされており、北側の先端には矢じりまたは百合の花の紋章が描かれている。
地球上において、ローズ・ラインは―子午線あるいは経線とも呼ばれるものは―北極と南極を結ぶ想像上の線である。北極と南極をつなぐ線は地球上のあらゆる点から引けるので、当然ながらローズ・ラインは無数にある。昔の航海者たちの頭を悩ませたのは、それらの線のどれを真のローズ・ライン―経度ゼロの線―と呼ぶか、あらゆる経度を計測するための基準線をどこに置くかということだった。
現在その線はイギリスのグリニッジにある。
しかし、当初からそこにあったわけではない。
世界共通の本初子午線の基点としてグリニッジ天文台が公認される以前、フランス人にとってのゼロ度の経線はパリのサン・シュルピス教会を通っていた。真鍮の標線はその事実を記念したものであり、一八八四年にグリニッジにその名誉を奪われたものの、元来のローズ・ラインとしていまも残っている。
「では伝説はほんとうだったのか」導師はシラスに言った。「修道会のキー・ストーンは〝薔薇の印の下にある〟と言われている」
いま、会衆席に膝を突いたまま、シラスは堂内を見まわし、耳をそばだてて人がいないのを確認した。聖歌隊のバルコニーで衣ずれの音が聞こえた気がし、頭をあげて数秒間目を凝らした。だれもいない。
ひとりきりだ。
立ちあがり、祭壇に向かって三度ひれ伏した。それから左を向いて美鈴の線に従い、オベリスクのある真北へ進んだ。
そのころ、ローマのレオナルド・ダ・ヴィンチ国際空港では、車輪が滑走路を叩く衝撃で、アリンガローサ司教がうたた寝から目覚めた。
居眠りをしていたのか、と司教は思った。眠れるほどくつろげているなら、それも悪くない。
「ローマへようこそ」機内放送が流れる。
身を起こして黒い法衣の乱れを直すと、珍しく顔が自然にほころんだ。こういう旅をしたいと前から思っていたものだ。ずいぶん長いあいだ守勢にまわっていたが、今夜は立場が逆転した。わずか五か月前、アリンガローサは先々の信仰活動に不安をいだいていた。いまや、神の御心によるかのごとく、解決策がひとりでに姿を現している。
神のお導きだ。
今宵パリで計画どおりに事が運べば、あるものがまもなく手にはいる。それがあれば、自分はキリスト教世界で最も強大な人間となるだろう。
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